ロマンス 赤 49001
「恋の歌」という名のワイン。
ヴァン ド ターブル(テーブルワイン)ですが、味わいはそんな格付けを無意味にしてしまう。
紫がかったルビー色。香りは非常に複雑で、黒イチゴやブルーベリーにミントや胡椒のニュアンスも。ボリューム感があり、余韻には干しいちぢくやプルーンの香りが口一杯に広がる。これぞスーパー テーブル ワイン。
ドメーヌ名のル ルフュージュとは、避難所、隠れ家という意味。
ラベルも素敵です。
ロマンスは、いわゆる典型的なコート デュ ローヌではありません。
より北方(高級ワインが造られる)の、複雑で、隠れたキャラクターをいくつも持つようなワイン。
マリ ピエールさんはコート デュ ローヌ(AOC)も造っていますが、それが最大の違いです。
コート デュ ローヌは、その土地の典型的な味。
ロマンスは、マリ ピエールさんが、自分の好みに従って、AOCという規定にとらわれず、自由に造るワイン。とても複雑な花の香りがあり、獣臭(重い赤ワインにはしばしばある香り)はない。
これは彼女が、「自分のワイン」として造っているもの。以前は、お父さまやご主人のワイン造りを手伝っていて、その時にはもっとシラーの比率が高く、アニマルっぽいワインだったそう。
でも、この違いは彼女の好みだけから来るのではありません。
ル ルフュージュの畑は、標高180-300mの間にあり、ロマンスの果実をつける樹は、その最も高い場所に植わっています。樹齢も40-60年と十分に古い。彼女の最上の畑なのです。
収穫は、下の畑から順番に行います。だから、上の畑の収穫は最後になります。
標高が高いことで、下の畑との温度差もあり、ゆっくりと完熟するそう。
毎年の収穫時期は、大体、北ブルゴーニュやアルザス並みの、10月上旬です。
そして収穫期に強い東風が吹くとさらに気温が下がり、雑味のない、キレのあるとてもいい状態で収穫できます。
地中の水も、上の畑の方が、ぶどうの樹にとって汲み上げにくいので、果実がより凝縮します。
シラーも、もちろん好みから比率を変えているにしても、もともと畑が高級ワイン産地ジゴンダスと似た土地で、グルナッシュ栽培に向いているのだそうです。
学校でワインテイスティングを学び、その後はお父さまやご主人について、ほぼ独学でワイン造りを学んだそう。マヴィの生産者さんの中ではなかなかいらっしゃらないのですが、マリ ピエールさんはあちこちのドメーヌを訪問し、ワイン造りに参加し、たくさん学んでいらっしゃいます。ご自宅でも、各国・各地方のワインを飲まれるそうです。
ワイン造りでは、何がどういう結果となったかを常に自分で分析して考えている。
例えば、コート デュ ローヌでは通常、秋冬にぶどうの樹の剪定をします。
でもマリピエールさんは2月に剪定します。
それは、剪定によって花がつく時期が変わるため。6月の早い時期に花がたくさんつくと湿気による被害の危険があるから、少しでも遅く花をつけたいからだそうです。
この「考える人」が、自分を表現しつくしたワインが、このロマンスなのです。
ちなみに、ロマンス(歌謡曲の1ジャンル。アコーディオンを使い、ダンスに向くような恋歌)という名前は、マリ ピエールさんがワイン造りの最中にロマンスを自然と口ずさんでいたから。
楽しい由来です♪
2008-09-17 13:38:14